香港力・《香港四重奏》
【 香港國際電影節】
昨日アップできませんでごめんなさい。
さんざんためましたが、いよいよ《香港四重奏》について。
香港国際映画祭では短編を集めた上映4回に散りばめられていた香港の監督作を、フィルマートでは《香港四重奏(Quatro Hong Kong)》のタイトルで試写がありました。Brand Hong Kong presentsとまず出てニヤリ。
上映順に感想を。
【赤地(Red Earth)】

監督: 羅卓瑤(クララ・ロー)
脚本: 方令正(エディ・フォン) 羅卓瑤
出演: 呉彦祖(ダニエル・ウー)
言語: 英語・北京語 上映時間: 22分
グランドハイアット(だと思う)の部屋にいる呉彦祖(ダニエル・ウー)の英語のモノローグと彼が撮影した写真のスライドショーで物語は始まります。
男は女を待っている。曖昧な約束。
10日、20日、40日、60日。女は来ない。
その間に彼はいろいろなことを考えます。
もし太陽が沈まなかったら…。それは世界の終り。
世界の終りは誰にでも平等にやってくる。ホームレスにも億万長者にも。
もし太陽が昇らなかったら…。闇の中で何が記録できるというのか。どんな記憶を残せるというのか。
非常に観念的な作りですが、強いメッセージ性に目はくぎ付けでした。
ストーリーが面白いとか、そういう感じではないのですが、本気で「地球は危ない」と深刻になっちゃった。
そして映像もモノローグも素晴らしかったです。
monicalの印象にとても強く残ったのは、これまでと違うダニエル・ウーの役作り。
中で彼はそのままABC(アメリカ生まれの中国人)の役を演じているわけですが(ネイティブな英語とたどたどしい北京語)、英語は普段、素の彼が話す英語とはまるで違うものでした。
「お、彼なりに相当役を作り込んでいるな」と妙に感心し、ちょっとご機嫌(笑)。
いつかまたチャンスがあったら彼にそのことを聞いてみたいと思います。
【生炒糯米飯(Fried Glutinous Rice)】

監督: 邱禮濤(ハーマン・ヤウ)
脚本: 李敏(エリカ・リー)
出演: 子役(名前不明) 杜宇航(トー・ユーホン) 候煥玲(ハウ・ウンリン)
言語: 広東語 上映時間: 13分(10分表記もあり)
おや?このロケ地も《歳月神偸》と同じ永利街かな…(不明)。
主人公の少年は街角の屋台で売っている“生炒糯米飯”が食べたくてたまりません。
日ごろのお小遣いでは替えず、お年玉でやっと買いに行くのですが…
少年は大人になって、中華料理店で高級な生炒糯米飯を食べられるようになりました。
特別の思い入れを込めて。
ナレーションは屋台のお婆ちゃん。
これまでの多くの香港映画でたくさんのお婆ちゃん役と言えばこの人、候煥玲(ハウ・ウンリン)さん。
セリフはほとんどないのですが、黙々と淡々と炒飯を作る姿がステキです。
わずか13分ですが立派に物語が成立していて、monical、泣いてしまいました。
ノスタルジーという意味では13分に凝縮しているぶん、《歳月神偸》や《月滿軒尼詩》より濃く感じます。
単純なmonicalは、140ドルしてもいいから(大人になった少年が食べる値段)食べようと
ネットでそのメニューがあるレストランを探したりしましたが、
神様のおひき合わせか、ホテルの近所の24時間飲茶屋(男性おひとり様御用達の店らしい)に
それを発見! このセットで26ドル(320円)くらいだったような記憶です。
まさに映画に近い「庶民の」生炒糯米飯。
おやじさんだらけの店内でうっとりモチゴメをかみしめたのでした(あ、脱線)。
そのお店の情報などは、今度、食べたものエントリーで。
【偏偏(We Might as Well be Starangers)】

監督・脚本: 麥曦茵(ヘイワード・マック)
企画: 李公樂(リー・コンロッ)
出演: 徐天佑(ティンヤウ) 楊淇(ケイト・ヨン)
言語: 広東語 上映時間: 20分
最近、ティンヤウ君が存在感増してます?東京国際映画祭で上映された彭浩翔(パン・ホーチョン)監督の「AV」や何宇恆(ホー・ユーハン)監督作「心の魔(心魔)」。アイドル(黄又南/ウォン・ヤウナムとのユニットShine)から脱却して2人とも渋く活躍しているのが嬉しくて。
相手役の楊淇(ケイト・ヨン)との相性バッチリ。こういう若手にこれからどんどん頑張ってほしいです。
《烈日當空》で鮮烈な監督デビューを果たした女流監督は彼らと同世代。
つまり等身大の今の香港の若者の生態がリアルに描けているわけです。
まるでドキュメンタリーのよう。
舞台となっている夜の九龍サイド、佐敦(ジョーダン)や油麻地(ヤウマーテイ)や尖沙咀(チムサーチョイ)の街を、こんな若者たちがいるんじゃないか、思わずキョロキョロしちゃいました。
このスタッフ・キャストで長編を作って欲しいなと思ってみたり。
【黄色拖鞋(The Yellow Slipper)】

監督・脚本: 陳果(フルーツ・チャン)
出演: 簡仲宜(ジョーイ・カン) 馮楚(キティ・フォン)
言語: 広東語 上映時間: 12分(11分表記もあり)
陳果(フルーツ・チャン)と言えば“返還三部作”で香港を描く監督という印象が強かったのに、
いつの頃からか中国でばかり(北京語の)仕事をするようになって淋しい思いをしていました。
そうしたら、アニメーションタッチ(実写版をCG加工したもの)という驚きの手法。
なんか、監督らしくない~(というのはmonicalの勝手な思い込み)。
そしてここで監督が語るのは、黄金期の香港映画です。
小さいころお母さんがよく連れて行ってくれた映画館…。
なるほど、李小龍(ブルース・リー)や周潤發(チョウ・ユンファ)の映像を
そのまま使うわけにもいかない、という事情があったから加工したのかしら(これも勝手な想像)。
なので視覚的にはとても興味深いものだったのですが、
「メイド・イン・ホンコン」のような衝撃はなかったのが残念です。
****************************************
この4本をまとめて見ることに意義があると思います。
香港映画人のノスタルジーや、若い才能の志向や、実験的な試みや、いろんなものが垣間見えるからです。
だからと言って決して商業的ではない。
これらの作品はある意味、香港映画人による香港人のための香港再発見を目的として作られたのだと思います。
残念ながら、短編コンペティションでは4作品ともグランプリは逃しました。
しかしこういう品こそ、日本の映画祭で上映して欲しいと熱望するmonicalなのであります。
さんざんためましたが、いよいよ《香港四重奏》について。
香港国際映画祭では短編を集めた上映4回に散りばめられていた香港の監督作を、フィルマートでは《香港四重奏(Quatro Hong Kong)》のタイトルで試写がありました。Brand Hong Kong presentsとまず出てニヤリ。
上映順に感想を。
【赤地(Red Earth)】



監督: 羅卓瑤(クララ・ロー)
脚本: 方令正(エディ・フォン) 羅卓瑤
出演: 呉彦祖(ダニエル・ウー)
言語: 英語・北京語 上映時間: 22分
グランドハイアット(だと思う)の部屋にいる呉彦祖(ダニエル・ウー)の英語のモノローグと彼が撮影した写真のスライドショーで物語は始まります。
男は女を待っている。曖昧な約束。
10日、20日、40日、60日。女は来ない。
その間に彼はいろいろなことを考えます。
もし太陽が沈まなかったら…。それは世界の終り。
世界の終りは誰にでも平等にやってくる。ホームレスにも億万長者にも。
もし太陽が昇らなかったら…。闇の中で何が記録できるというのか。どんな記憶を残せるというのか。
非常に観念的な作りですが、強いメッセージ性に目はくぎ付けでした。
ストーリーが面白いとか、そういう感じではないのですが、本気で「地球は危ない」と深刻になっちゃった。
そして映像もモノローグも素晴らしかったです。
monicalの印象にとても強く残ったのは、これまでと違うダニエル・ウーの役作り。
中で彼はそのままABC(アメリカ生まれの中国人)の役を演じているわけですが(ネイティブな英語とたどたどしい北京語)、英語は普段、素の彼が話す英語とはまるで違うものでした。
「お、彼なりに相当役を作り込んでいるな」と妙に感心し、ちょっとご機嫌(笑)。
いつかまたチャンスがあったら彼にそのことを聞いてみたいと思います。
【生炒糯米飯(Fried Glutinous Rice)】



監督: 邱禮濤(ハーマン・ヤウ)
脚本: 李敏(エリカ・リー)
出演: 子役(名前不明) 杜宇航(トー・ユーホン) 候煥玲(ハウ・ウンリン)
言語: 広東語 上映時間: 13分(10分表記もあり)
おや?このロケ地も《歳月神偸》と同じ永利街かな…(不明)。
主人公の少年は街角の屋台で売っている“生炒糯米飯”が食べたくてたまりません。
日ごろのお小遣いでは替えず、お年玉でやっと買いに行くのですが…
少年は大人になって、中華料理店で高級な生炒糯米飯を食べられるようになりました。
特別の思い入れを込めて。

これまでの多くの香港映画でたくさんのお婆ちゃん役と言えばこの人、候煥玲(ハウ・ウンリン)さん。
セリフはほとんどないのですが、黙々と淡々と炒飯を作る姿がステキです。
わずか13分ですが立派に物語が成立していて、monical、泣いてしまいました。
ノスタルジーという意味では13分に凝縮しているぶん、《歳月神偸》や《月滿軒尼詩》より濃く感じます。

ネットでそのメニューがあるレストランを探したりしましたが、
神様のおひき合わせか、ホテルの近所の24時間飲茶屋(男性おひとり様御用達の店らしい)に
それを発見! このセットで26ドル(320円)くらいだったような記憶です。
まさに映画に近い「庶民の」生炒糯米飯。
おやじさんだらけの店内でうっとりモチゴメをかみしめたのでした(あ、脱線)。
そのお店の情報などは、今度、食べたものエントリーで。
【偏偏(We Might as Well be Starangers)】



監督・脚本: 麥曦茵(ヘイワード・マック)
企画: 李公樂(リー・コンロッ)
出演: 徐天佑(ティンヤウ) 楊淇(ケイト・ヨン)
言語: 広東語 上映時間: 20分
最近、ティンヤウ君が存在感増してます?東京国際映画祭で上映された彭浩翔(パン・ホーチョン)監督の「AV」や何宇恆(ホー・ユーハン)監督作「心の魔(心魔)」。アイドル(黄又南/ウォン・ヤウナムとのユニットShine)から脱却して2人とも渋く活躍しているのが嬉しくて。
相手役の楊淇(ケイト・ヨン)との相性バッチリ。こういう若手にこれからどんどん頑張ってほしいです。
《烈日當空》で鮮烈な監督デビューを果たした女流監督は彼らと同世代。
つまり等身大の今の香港の若者の生態がリアルに描けているわけです。
まるでドキュメンタリーのよう。
舞台となっている夜の九龍サイド、佐敦(ジョーダン)や油麻地(ヤウマーテイ)や尖沙咀(チムサーチョイ)の街を、こんな若者たちがいるんじゃないか、思わずキョロキョロしちゃいました。
このスタッフ・キャストで長編を作って欲しいなと思ってみたり。
【黄色拖鞋(The Yellow Slipper)】


監督・脚本: 陳果(フルーツ・チャン)
出演: 簡仲宜(ジョーイ・カン) 馮楚(キティ・フォン)
言語: 広東語 上映時間: 12分(11分表記もあり)
陳果(フルーツ・チャン)と言えば“返還三部作”で香港を描く監督という印象が強かったのに、
いつの頃からか中国でばかり(北京語の)仕事をするようになって淋しい思いをしていました。
そうしたら、アニメーションタッチ(実写版をCG加工したもの)という驚きの手法。
なんか、監督らしくない~(というのはmonicalの勝手な思い込み)。
そしてここで監督が語るのは、黄金期の香港映画です。
小さいころお母さんがよく連れて行ってくれた映画館…。
なるほど、李小龍(ブルース・リー)や周潤發(チョウ・ユンファ)の映像を
そのまま使うわけにもいかない、という事情があったから加工したのかしら(これも勝手な想像)。
なので視覚的にはとても興味深いものだったのですが、
「メイド・イン・ホンコン」のような衝撃はなかったのが残念です。
****************************************
この4本をまとめて見ることに意義があると思います。
香港映画人のノスタルジーや、若い才能の志向や、実験的な試みや、いろんなものが垣間見えるからです。
だからと言って決して商業的ではない。
これらの作品はある意味、香港映画人による香港人のための香港再発見を目的として作られたのだと思います。
残念ながら、短編コンペティションでは4作品ともグランプリは逃しました。
しかしこういう品こそ、日本の映画祭で上映して欲しいと熱望するmonicalなのであります。
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