『レイン・オブ・アサシン』 共同監督・来日記者会見
【 日本タイトル 「ら」行】


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7月27日、「レイン・オブ・アサシン」(原題:劍雨)の記者会見がありました@パークハイアット東京。
来日したのは香港が誇る巨匠・呉宇森(ジョン・ウー)と台湾の新進気鋭・蘇照彬(スー・チャオピン)、共同でメガホンをとった2人の監督です。ウーさんは製作を、スーさん(笑)は脚本も担当しました。ウーさんは「この作品の監督はあくまでスーですから」と気を遣っていましたが、そこは“「レッドクリフの」ジョン・ウー”ですから、彼のほうが会見慣れもしているし貫禄あるし注目されてしまうのは致し方ありません。
なのでまずここで蘇照彬(スー・チャオピン)の紹介など。
日本と香港の合作映画「現実の続き 夢の終わり」(00)や宮沢りえ主演の台湾映画「運転手の恋」(00)、アメリカのコロンビア・ソニーが立ち上げたアジア映画プロジェクトの1本「ダブル・ビジョン」(02)で脚本を担当。【訂正】監督デビューは「愛情靈藥」。2006年自らの製作・脚本による台湾映画「シルク」を発表しました。つまり監督としてはまだ新人なわけです。(「シルク」は東京国際映画祭で上映 シネマート六本木台湾映画特集で上映)
「以前『シルク』を観てその独創性に感銘し、ぜひ一緒に仕事をしたいと思っていた」とウーさん。スーさんが書いた「劍雨」の緻密な脚本にすっかり魅入られた様子です。
「女の剣豪が主人公という新しい武侠映画スタイルでしかもそのヒロインが現代的で人間的で素晴らしかった。女性の武侠映画は長いことなかったこともあってぜひ映画化したいと思った」
なんとなく気づいた方もいらっしゃると思いますが、ウーさんは“兄弟情”“男の義理人情”を描くのは得意中の得意ですが、女性心理や男女の機微を描くのは少しばかり苦手(笑)。だからなおさらこの脚本に魅かれたのかもしれません。しかしここまで多くの女優を一人で演出するには不安もあり、スーはすでに監督デビューを果たしていることだし、そうだ共同監督の形で進めればいいんだ、と思いつき・・・あ、すみません、このくだり私の妄想です。。。汗
「僕は男の映画ばかり撮ってきたから、スーがどのように女優たちを扱うのか興味津々で撮影風景を楽しみながら観察していた。実際、その手腕には嫉妬を覚えるほどだった(笑)。中華圏に二人といない才能と確信した」といつものニコニコ笑顔で語るウーさん(スーさん意外とポーカーフェイス)。
一方のスーさんは「ウー監督がいなければこの作品は存在しなかった。彼はまさしく"歩くウィキペディア”で、ほんとうに多くのことを学ばせてもらった。もちろん映画技術だけでなく人となりも」と。

そして質問は豪華なキャスティングにおよびました。
スー「楊紫瓊(ミシェル・ヨー)については始めから想定していた。芝居もアクションもできる女優として中華圏のベスト3に入る人だから」
ウー「愛や裏切りという感情の起伏を過不足なくリズミカルに演じきって、彼女は愛情に満ちあふれる力強いヒロイン像を見事に創り出した。彼女にとって「グリーンデスティニー」に次ぐものになるだろう」
は? “次ぐ”ものですか~(笑)
この作品の中に登場する女性たちはミシェルに限らず、誰もとても強い意志を持っています。それって時代考証的にはブーなんじゃ?という思いが観ながらチラとよぎるのですが。。。
「現代の男女関係をあの時代に反映させたかった。たとえば女からのプロポーズ。女性も自分の運命を自分で切り開く。この時代が男女平等だったら、というつもりで描いた」とスーさん。
すかさずウーさんもフォローします。
「スーの素晴らしさは、あれだけ多くの登場人物を現代的に表現して違和感を感じさせないところにある。まるで身近にいるようなリアルな生活感と存在感を彼らに持たせた。その意味で典型的武侠映画を越えたスタイルと言えるだろう。人間はどんな苦境にあっても新しい人生を切り開くことができる、というメッセージをいま、世界中の人々に受け止めてもらえるのではないか」
なるほど納得。
ちなみに、吹き替えによってミシェル姐さんの声がとーっても可愛らしくなっていることが残念で。それも次第に気にならなくなるのですが、やはり生のあの少しハスキーな声だったらもっと素敵だったろうなーと思います(それはウソンも同じ)。
彼女が演じるヒロインの存在こそが物語のサスペンス性の鍵を握っているので、それは映画を観てのお楽しみということで、もにょもにょ。。。
そのミシェルと愛憎を演じるチョン・ウソンの起用についてウーさんは
「僕が彼に抱いていたイメージは高倉健に通じるものだった。国や文化が違っても一緒に仕事がしたいと思う俳優だ」と。
実はこの作品を昨年の東京国際映画祭のフィルムマーケット試写で見てmonicalが真っ先に連想したのは、ウソンと章子怡(チャン・ツィイー)が主演した韓国・中国の合作「MUSA-武士-」(2001年作品2003年日本公開)でした。ウーさんスーさんはこれ、見ていたのかなぁ。
会見では中国の名優、王學圻(ワン・シュエチー)についての質問も出ました。
ウー「素晴らしい俳優だ。力強さも繊細さも演じられる。欲望に満ちた宦官という役の二面性を声を変えて演じ分けたいと言ったのは彼からの提案だった。演技についてしっかりした考えを持っている。「花の生涯-梅蘭芳-」で驚かせてくれたが、今回この役で新しい驚きを与えてくれた。描きにくい宦官を監督の望み通りに演じた。人格的にも素晴らしい役者だ」
スー「初めて脚本を見た時は相当悩んだらしい。悪役はとても彼にとってチャレンジングな役柄だったから」
ウーさんが言うように、私たちが日本公開作で触れてきたワンさんとは一味も二味も違う演技は本当にさすがです。
その他のキャスティングも実に新鮮で豪華。しかもそれぞれの役柄の背景が非常に興味深く、誰が主役でもスピンオフ映画が作れそうな構成になっているのです。
ちなみにその他の主要キャストは
ワイルドな剣客・余文樂(ショーン・ユー)、奇妙な魔術師・載立忍(レオン・ダイ)。ちなみに彼の最大の魔術場面はスーさんこだわりのシーンだそうです。
女優陣はほかに林熙蕾(ケリー・リン)、徐煕媛(バービー・スー)、呉佩慈(ペース・ウー)、鮑起静(パウ・ヘイチン)、そして冒頭に登場する謎の個性派女優(思わせぶり)。
この女優陣の顔ぶれを見ると、お色気担当は林熙蕾(ケリー・リン)と早合点しそうですが、実はNO。さてだーれだ(笑)
さてさて、さきほどの「謎の個性派女優」について。
最初、東京国際で見た時は本当に知らなくて、例えば「孫文の義士団」の李宇春(クリス・リー)のような印象的な存在で「誰だろう。。。」とずっと気になっていました。
今回の日本公開を受けての試写でプレスシートを見て「!」w。目がそっくりでした。
ウーさんの愛娘、呉飛霞(アンジェルス・ウー)。
娘のことになるとますます相好を崩すウーさん。相当な恐“娘”家のようです。
「娘がしたいということは全面的に尊重する。なにしろ娘が恐いから。何を言っても何をしてもいい。彼女は監督になりたがっているので将来のために役に立つを思いスーに頼んで役をもらった。何カットかは演出を手伝ったが、娘に演出することができずスーに助けてもらった。ワイヤーアクションの撮影時はもう心配で心配で周りをうろうろ、アクション監督に大丈夫だろうな、何かあったらどうしてくれると。娘は全然大丈夫、邪魔だから現場にいるなと言われた」
なーんだ、ウーさんも娘に嫌われることをいちばん恐れている普通のお父さんなんだ~って面白かったです














「レイン・オブ・アサシン」(原題:劍雨) ※この色の部分はmonical補足情報です
2010年/中国・香港・台湾/120分/カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル/英題:REIGN OF ASSASSINS
提供:カルチュア・パブリッシャーズ
配給:ブロードメディア・スタジオ/カルチュア・パブリッシャーズ
字幕翻訳:伊東武司

共同監督:蘇照彬(スー・チャオピン) 呉宇森(ジョン・ウー)
製作:呉宇森(ジョン・ウー) 張家振(テレンス・チャン)
衣装:ワダエミ
アクション監督:董瑋(スティーヴン・トン)
撮影:黄永恆(ホーレス・ウォン)
脚本:蘇照彬(スー・チャオピン)
美術:楊百貴(ヤン・バイグイ)
音楽:金培達(ピーター・カム)※出演も
編集:張嘉輝(チョン・カーフェイ)
※オリジナル主題歌:'創雨浮生' 歌:薩頂頂&呉青峰
◆出演◆
楊紫瓊(ミシェル・ヨー) (『SAYURI』『グリーン・デスティニー』)
チョン・ウソン(鄭雨盛) (『グッド・バッド・ウィアード』『私の頭の中の消しゴム』)
王學圻(ワン・シュエチー) (『孫文の義士団』『花の生涯 ~梅蘭芳~』)
徐煕媛(バービィー・スー) (『コネクテッド』「流星花園 ~花より男子~」)
余文樂(ショーン・ユー)(『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』『インファナル・アフェア』)
林熙蕾(ケリー・リン)(『MAD探偵 7人の容疑者』『フルタイム・キラー』)
戴立忍(レオン・ダイ)(『ダブル・ビジョン』『シーディンの夏』)
郭曉冬(グオ・シャオドン)(『ウォーロード ~男たちの誓い~』『天安門、恋人たち』)
江一燕(ジェン・イーイェン)
鮑起静(パオ・ヘイチン)
呉佩慈(ペース・ウー)
李宗翰(リー・ゾンファン)
呉飛霞(アンジェルス・ウー)
8月27日(土)より 新宿武蔵野館ほか全国公開!
公式サイト http://www.reignassassins.com/
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